壁の補強
壁を補強するといっても、やみくもに壁を強くするのでは偏心率(重心と剛心の距離)は改善されません。耐震診断の結果から補強の必要な箇所を割り出し、的確な位置に、的確な強度の壁を補強する必要があります。
1.筋交いを入れて補強する
梁から土台の間に筋交いを入れることで、バランス・耐力を向上します。
2.構造用合板や補強用面材を用いて補強する
筋交いを入れる場合と同様に、壁の耐力を向上します。最近では、梁・土台の加工が必要ない補強方法もあります。
開口部を減らして新しい壁を増やす
壁を増やすことでバランスを改善します。隅部を壁にすると、一層効果的です。
基礎の補修
基礎の補修には、ひび(クラック)の補修や無筋基礎の有筋化などがあります。
ひび(クラック)の補修
ひび割れが生じている箇所に、エポキシ樹脂を注入して塞ぎます。
無筋コンクリート基礎の有筋化
既設の無筋基礎の外側に、鉄筋コンクリート造の基礎を抱きあわせ、一体化して補強します。
土台・柱下の改善
土台が腐朽または蟻害を受けている場合や柱下が痛んでいる場合など、土台の取り替えや柱根継ぎを行う必要があります。なお、取り替え材には必ず防腐・防蟻処理を行ってください。また、腐朽・防蟻対策として、床下に調湿炭を敷き詰めることも効果があります。
接合部・その他
その他にも、診断の総合評点に反映される「屋根の軽量化」や、反映はされませんが部分的な欠陥の改善として「接合部の補強」など、重要性の高い補強があります。
基礎と柱を緊結する
壁が強くなることで、柱のホゾ抜けが起こりやすくなります。それを防止するために、ホールダウン金物を使用し、コンクリート基礎と柱を直結します。またホールダウン金物には、壁の中に金物を収める「内付け」と、外側に設置する「外付け」があります。
屋根を軽くする
重量のある日本瓦を、軽量な材質に取り替えることも、耐震性の向上に有効です。
バットレス(添柱・控柱)を設置する
建物の内部では強い壁の設置ができないときには、筋交いと同様の効果を発揮するバットレスを外側に設置します。
地盤の改善
地盤の改善には次のような方法があります。
1.沈下修正
沈下した分だけ修正する方法。比較的安価ですが、応急処置的なものになります。
2.支持地盤まで杭を打ち、基礎を乗せる
家をジャッキアップして杭を打ち込みます。高額になるのが難点です。
3.地盤改良する
家を持ち上げて別の場所に移動するか、1階の床をすべて剥がして施工します。これも高額になります。既に家が建っている土地を改良するのは、やはり困難です。建てる前に地質調査・地盤改良を行う方が効果的です。